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4/22 ライフサイエンス技術部会材料分科会講演会にて「細胞性食品の業界及びルール形成動向について」講演

公益社団法人新化学技術推進協会(JACI)による、ライフサイエンス技術部会材料分科会にて「培養肉の現状と課題」というテーマで講演会が行われました。JACAも参加させていただきました。

https://jaci-event.com/20240422%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%82%A8%E3%83%B3%E3%82%B9%E6%8A%80%E8%A1%93%E9%83%A8%E4%BC%9A%E6%9D%90%E6%96%99%E5%88%86%E7%A7%91%E4%BC%9A%E8%AC%9B%E6%BC%94%E4%BC%9A

1.日 時 2024 年4 月22 日(木) 14:30~17:20

2.プログラム
テーマ「培養肉の現状と課題」

14:30-15:30 ご講演 (オンライン講演、質疑応答時間を含む)
演題:「培養肉技術の現状と課題、展望」
大阪大学大学院工学研究科応用科学専攻
教授 松崎 典弥

  • 要旨:将来的なタンパク質不足を補うため、代替タンパク質として植物由来の代替肉や細胞を用いた培養肉が注目されている。現在、培養肉に関する法規制が整備され、法に基づいて食べることができる国はシンガポールと米国、イスラエルの3ヶ国に限られるが、ヨーロッパやアジア、南米各国で検討されている。培養肉の作製方法としては、植物由来のタンパク質成分にトリ線維芽細胞の溶解液と食品添加物を混合して成形する手法が一般的であり、“肉”本来の組織学的構造からかけ離れているのが現状である。これでは、植物由来成分に食品添加物を混ぜて成形して作製する現状の“代替肉”と何ら変わりはなく、細胞を使うメリットも必然性もない。本来、コストのかかる細胞をわざわざ使う理由は、“細胞が肉の構造と味を再現する”ことを期待しているからである。なぜそれが達成されていないのか。その理由は“肉という組織構造を再現できていない”ことにつきる。
    我々は、再生医療や創薬支援分野で培った組織工学技術を活用することで、ウシの筋組織と脂肪(サシ)の三次元構造をテーラーメイドで再現可能な「TIP-3Dバイオプリント法」を開発した。本講演では、我々の技術開発だけでなく、培養肉分野の現状と課題、将来展望についても議論する。

15:40-16:40 ご講演 (会議室講演、質疑応答時間を含む)
演題:「細胞性食品の業界及びルール形成動向について」
一般社団法人細胞農業研究機構
代表理事 吉富 愛望 アビガイル

要旨:動物由来の食料資源などの需要に対し、将来的に供給のひっ迫が生じる可能性があり、その解決に貢献しうる選択肢の一つとして細胞農業が注目されている。主要国においてその開発推進を通じた情報収集や事業環境構築に向けた議論が進んでいるなかで、日本として細胞農業に対してどのように向き合うべきか、早急に国内における議論をまとめる必要がある。そのために、国内においてしかるべき検討体制の構築や社会的合意形成(ルール形成)が喫緊の課題である。本講演では細胞農業や細胞性食品(いわゆる「培養肉」)の基礎情報から、当該領域における最新のルール形成動向を紹介する。


16:50-17:20 分科会メンバーとの意見交換会