【シリーズ5】「知らずに食べていた」を防ぐ食品表示
「知らずに食べていた」を防ぐ食品表示
食品表示表法とは
食品表示法(食品表示基準も含みます。)は、日本の消費者が、国内で販売されている食品に何が含まれているか、自身(または保護者)の意思によって判断し、購入するか否かを選択できるよう、必要な情報を提供することを目的とした法律です。
景品表示法とは
食品表示法とは別に、細胞性食品に深く関係し、表示に関係する法律は他にもあります。
景品表示法もそのひとつ。事業者が行う取引に関する広告や表示、景品類の提供について規制する法律で、事業者が行うあらゆる取引が対象となります。
広告:新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、インターネットなど、あらゆる媒体で行われる広告
表示:商品の包装、容器、説明書、店頭のPOPなど、あらゆる表示
景品類の提供:商品の購入者やサービスの利用者に対して提供される景品類
景品表示法の規制概要は多岐に渡りますが、当機構がルール形成を推進するにあたり、特に注意を払っているのは、「優良誤認表示の禁止」の禁止条項です。
優良誤認とは、商品の品質、価格、内容等について、実際のものや事実と相違して、著しく優良であると一般消費者に誤認させることです。これにより不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害する行為は、事業者が意図的に行ったものではなくても措置対象になります。不当な表示は、既存産業のブランド毀損の恐れもあり結果として社会、消費者のためになりません。
例えば、従来の畜産方法で育てた食肉を求める消費者が、店頭またはオンラインで、細胞農業による生産品の商品を間違えて購入してしまうことは避けなければなりません。しかし一方で、消費者がその食品の使用用途や特徴について理解する上で、今まで慣れ親しんできた食品との類推で理解しやすい表現であるかどうかも同様に重要であると考えます。食品はあくまでも消費者のためのものですので、表示ルールの考え方について、消費者が置いてけぼりになることはあってはなりません。
JAS規格とは
JAS規格とは
2024年2月現在、食品表示制度の企画・立案は消費者庁で行われており、JAS制度の企画・立案は農林水産省大臣官房新事業・食品産業部で行われています。
参考情報
消費者庁: https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/
農林水産省: https://www.maff.go.jp/j/syouan/hyoji/index2.html
代替タンパクの参考事例: 大豆ミート
大豆ミートなどの代替たんぱく食品の従来の表示基準では、食品表示法などの従来の表示基準では消費者がプラントベース食品を正しく理解することが難しいという課題がありました。このような状況をふまえ消費者庁は、プラントベース食品等の表示に関するQ&Aを公表しました。このほかそのため、プラントベース食品に関しては大豆ミートの他、エンドウ豆、えん麦、小麦、米、なたね、ひまわり、大豆、亜麻仁、落花生、ココナッツ、乳酸菌などを原材料とする加工食品が対象となる「大豆ミート食品類の日本農林規格(JAS規格)」が、2022年3月に制定されました。JAS規格は義務ではなく、メーカーの任意取得となりますが、規格化された商品は、消費者にとってパッケージ表示が分かりやすく、プラントベース食品であることが明確であり、規格化された商品であることの安心感が期待されます。メーカーにとっては、基準が明確で分かりやすいため、消費者に誤認を与えることなく、商品情報を伝えることが容易になります。
参考情報
消費者庁 プラントベース食品って何?
JACAが目指すところ
消費者の持つ選択の自由を保護し、不当な表示から守ることは、事業会社や細胞農業業界はじめ、関連産業の方々を守ることに繋がります。一方で、その選択された食品の使用用途や特徴を消費者にとって分かりやすく伝えることでその食品を使いたい人がその食品を有効に使用できるよう務めることは産業界としての消費者に対する務めであると考えます。
よって当機構では、表現内容や表現方法を適切に基準化することを目指しています。またその基準が一般消費者の認識とかけ離れることがないように、関係省庁、有識者、産業団体、消費者団体をはじめとしたステークホルダーと積極的に協議を行い、細胞性食品による優良誤認表示を防ぎたいと考えています。