【シリーズ6】細胞性食品に使われる技術とは

細胞性食品に使われる技術とは

①細胞培養工程の一例

細胞性食肉でつかわれる細胞培養技術は、動物や植物の細胞を取り出して、培養槽(バイオリアクター)の中で細胞を維持・増殖させる技術であり、胚に加工を行うことはありません。また、動物の母体を必要としないため、体細胞クローン技術とは異なります。

「タネ細胞培養工程の一例」

2009年発行の食品安全委員会の報告書[1]に記述された、体細胞クローン技術の技術説明によると、”体細胞クローン技術とは、除核した成熟卵に体細胞又は体細胞の核を移植し、電気的刺激により融合させ、得られた(再構築)胚を受胚牛に受胎させ、産子を産出させるものである。”とされています。

②細胞培養と遺伝子組換え技術は異なる技術なの?

遺伝子組換え技術とは、ある生物の遺伝子の一部を取り出して、他の生物の細胞に導入することによって、新たな形質を発現させる技術で、農作物の品種改良や有用な微生物の作出で広く利用されています。

遺伝子組換え食品の安全性については、厚生労働省のパンフレットなどを御覧ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/shokuhin/bio/idenshi/index.html

細胞培養技術は、動物や植物の細胞を取り出して、培養槽(バイオリアクター)の中で維持・増殖・分化させる技術であり、遺伝子組換え技術とは異なります。

培養槽にいれて増やす細胞のことを「タネ細胞」と呼びますが、技術的には、「タネ細胞」を遺伝子組換えを行った動植物から採取したり、タネ細胞の遺伝子を改変して使用するケースは考えられるでしょう。ただし、国際連合食糧農業機関(FAO)及び世界保健機関(WHO)が2023年4月に共同発表したレポート[2]によると、現在は遺伝子組換え技術を使用していない細胞性食品が主流であり、遺伝子改変されたタネ細胞に使用しているのは、国際的にも非常に少数にとどまるようです。

なお、遺伝子組換え生物の食品としての利用に当たっては、日本も含めて各国政府が安全性審査を行い、安全上の問題がないことを確認した上で、その生産や流通を認めています。

より詳細な細胞培養技術説明に興味がある専門家の皆様には、「細胞性食品の将来展望」をお勧めしております。