Q: 「培養肉」って食べても大丈夫?

Q: 「培養肉」って食べても大丈夫?

A: 安全に生産されたと言えるにはどのような条件を満たしていればよいかについて、今まさに国や産業、アカデミアでは最新の科学的な根拠を基に検討中です。

もっと知ろう

国による安全性の確保(ルール)が必要

細胞性食品(いわゆる「培養肉」)は、その原料となる細胞の生産工程において、細胞の採取から大量培養と言った、既存の食材生産にはない工程があります。そのため、実際に販売する前には、どのような要件を満たせば安全性確認ができたと言えるのか、国として考え方を整理する必要があります。

シンガポール政府に続く世界の動き

国としての見解をいち早く公表したのがシンガポール政府です。シンガポール政府は細胞性食品の安全性に関するデータの提出窓口を設けて、企業からの情報収集を積極的に進めました。

そして、2020年には米国のベンチャー企業であるイート・ジャスト社の細胞性チキンの販売を世界で初めて承認しました。

この動きに続いたのが米国政府(FDA:食品医薬品局)で、昨年11月にはアップサイド・フーズ社の細胞性チキン、今年3月にはイート・ジャスト社の細胞性チキンについて、それぞれ安全性確認が完了したことを公表、6月には両社の販売を許可しました。

一方、日本では、昨年12月に開催された厚生労働省の審議会において、細胞性食品に関する勉強会が開催され、その後、企業ヒアリングも行われました。今後、安全性の確認方法などについて、国による検討が進むことを期待しております。

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安全性の議論

なお、安全性に関してよく論点として挙がる一つに成長因子の使用があります。細胞培養は動物の体内で筋肉が大きくなる過程を模倣した仕組みで、糖、アミノ酸、ミネラルなどに加えて、血液に似た成長因子が必要になります。

成長因子は細胞が増える工程で消費され、また細胞が食品原料として使用される前に洗い流されることがごく一般的ですが、食品や食品添加物以外の材料が使われる場合があるため、使用してよい材料の要件や残留基準について検討が必要になるでしょう。

ちなみに米国やシンガポール政府の公表資料を読むと、細胞性食品が既存の肉と比べて違いがないかどうかが安全性確認の大きなポイントのようです。
(詳しくは、「Q: 培養肉の作り方を詳しく知りたい」をご参照下さい)